【ホワイトハウス政権交代】トランプ就任で重大発表「男女2つの性のみ」 LGBT団体は反発、一部支持者から「常識回帰」の声

The below article is translated from a Chinese article:【白宮易主】特朗普就職宣布重大消息:只有兩種性別 男性與女性 同志團體反對 支持者認為返回常識 

執筆:香港性文化学会特約研究員

2025年1月20日に米国大統領就任宣誓を行ったドナルド・トランプ氏は、就任演説の中で「米国政府の公式方針として、男女2種類の性しか認めない」と表明した。演説の場では支持者から大きな歓声と拍手が上がった一方、LGBTQコミュニティや関連団体は「差別を助長しかねない」として強く反発している。
トランプ氏は連邦政府に対し、「トランスジェンダー思想の推進をやめる」と明言し、さらに「人種やジェンダーに関する議題を民間や公共の場に持ち込む措置を今週中に終わらせる」とも宣言。「われわれは肌の色に関係なく、能力を基準に人材を登用する国家を築く。今日から、米国政府の公式見解として存在するのは男性と女性の2性だけだ」と述べた。これに対して「常識への回帰だ」と歓迎する声がある一方、「LGBTQの人々を排除する動きだ」との批判も出ている。
トランプ氏、「トランスジェンダーの混乱を終わらせる」と公言
トランプ氏は選挙期間中、「トランスジェンダーの混乱(transgender insanity)を終わらせる」と繰り返し主張し、バイデン前政権が推進してきた多様性・公平性・包括性(DEI)関連政策の撤回を公約に掲げていた。就任前日の演説でも「バイデン政権の急進的で愚かな行政命令を撤廃する」と改めて強調している。
就任初日には多数の行政命令に署名。その一つである「性別意識形態の過激主義から女性を保護し、連邦政府における生物学的事実を再建するための命令」では、生物学的に男性である者が自己認識で女性と主張しても、女性専用空間への立ち入りや女性向けの活動参加を認めない方針を打ち出した。具体的には、女性用のDV(ドメスティックバイオレンス)被害者用シェルターや職場の女性用シャワールームなどが対象となる。この命令では「性別という生物学的現実を消し去ることは、女性の尊厳、安全、幸福を損なう行為だ」とし、「性別の定義を変更することで女性だけでなく、米国全体にも大きな影響が及ぶ」と警鐘を鳴らす。さらに「女性の権利と良心の自由を守る」ことを目的に掲げている。
トランプ氏:「性は男性と女性の2種類のみ」
同命令では「男性と女性の2つの性は混同も変更もできない」と明確に宣言し、「女性は生物学的に女性、男性は生物学的に男性」という基本的・議論の余地がない事実に基づくとしている。文書中では、性別の定義を外見や染色体ではなく、受精における配子(gametes)の種類により区別する方針を示した。すなわち「受精時に大きな生殖細胞を提供するのが女性、小さな生殖細胞を提供するのが男性」であると定義。ある政府関係者は「染色体は性を示す特性ではあるが、生殖における『大きな配子と小さな配子』の協力によって次世代が生まれることこそ、性の二元性の本質だ」と説明している。また、連邦政府においては今後、「心理的性別」を示す“gender”の用語は用いず、「生物学的な性別」を指す“sex”のみを使用する方針も示された。
ビザ、パスポート、単一性別空間、呼称用の代名詞にも波紋
さらに、この命令では、国民が自己申告によってパスポートやビザ上の性別表記を変更することを禁止すると明記された。自己申告による性別変更は2021年から適用されており、2022年には米国で初めて「X」の性別表記を採用したパスポートが発行されていた。
公的機関が運営する単一性別の施設――たとえば刑務所や移民収容所、性犯罪被害者の保護施設など――についても、生物学的な性別に基づいて収容場所を決定するよう求めている。これにより、女性だと自称する男性が女性専用の刑務所や保護施設に入ることは原則として認められなくなる。また、連邦政府の資金を用いた「性転換サービス」の公的支援も打ち切る方針を示した。
呼称や代名詞については、政府施設や職場などでトランスジェンダー当事者の希望する代名詞を強制的に使うことを求める規定を廃止する。トランプ氏と政府関係者は、そうした義務づけは合衆国憲法で保障される言論の自由や宗教の自由を侵害するとしていた。
また、この命令の中では、バイデン前大統領が署名した「教育法第9条(Title IX)の改正拡大措置」にも言及。2020年の連邦最高裁判所判決(Bostock v. Clayton County)を誤って引用し、自認する性を「性差別」の概念に含めたことにより、「女性だと名乗れば生物学的に男性でも女性専用空間に立ち入れる」という運用が容認されてきたと批判している。今回の命令では、この運用を是正し、本来は生物学的性別に基づいて判断されるべきだと強調している。
教育法第9条修正案の再編をめぐる論争
2025年1月9日、ケンタッキー州の連邦地方裁判所で、バイデン政権による教育法第9条の修正案が「大統領権限を逸脱している」と判断され、約1500ページに及ぶ関連規則が無効とされた。
ケンタッキー州の連邦地方裁判所判事ダニー・C・リーブス(Danny C. Reeves)氏は、この拡張内容に「致命的な欠陥」があると指摘。同日のケンタッキー州での判決は、ルイジアナ州の別の連邦地方裁判所の判断とも呼応しており、ルイジアナ州、ミシシッピ州、モンタナ州、アイダホ州で同法の施行が一時停止されることになった。また、さらに16州が同拡張措置に対し異議を申し立てており、訴訟は継続中である。現在、合計26州がこの拡張規定の適用を停止している。
ケンタッキー州の判決文では、「『性別に基づく差別』の範囲を『ジェンダー・アイデンティティ』まで拡大することは、第9条の根幹を根本的に覆す」と明確に指摘。
また、判決では、「米国憲法修正第1条(宗教・言論・集会などの自由を保障する条項)は、政府がこのような手段で言論を抑圧したり、発言者に同意しない信条を表明させたりすることを許さない」と述べている。具体的には、「学生が希望する代名詞の使用を教職員に強制すること自体が言論の自由を侵害している」と指摘。たとえば、生物学的に男性の学生を女性代名詞「she」で呼ばなければならないなど、教師の意に反する呼称を使わざるを得なくなる状況が問題視された。
教育法第9条修正(Title IX)は1972年に施行され、学生が性別によって差別されないことを目的としてきたが、当初この「性別」は男性と女性を指すものとされていた。しかし、バイデン政権は2024年4月に「ジェンダー・アイデンティティ」と「性的指向」を保護対象に加える拡張を推し進め、物議を醸してきた。例えば、生物学的に男性である学生が「自分は女性だ」と自認した場合、女性用トイレや更衣室、女子スポーツへの参加を学校側が認めなければ「差別」とみなされる可能性があるというのだ。批判者からは「地方教育の自治権を侵害し、行政権を逸脱している」との声が上がっている。
トランプ政権の大統領令に対するLGBTQ団体の反発と一部の支持
今回のトランプ政権による大統領令に対し、LGBTQ関連の大手人権団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン(Human Rights Campaign=HRC)」のケリー・ロビンソン(Kelley Robinson)会長は、「私たちの家族やコミュニティを傷つけること以外に、何の意味も持たない」と厳しく批判。「職場や学校、軍隊など、あらゆる場で私たちの関係やアイデンティティが尊重されるよう、長年にわたり闘ってきた。このような攻撃は、彼らの狭い価値観にそぐわない人々すべての権利を脅かす行為だ」と警鐘を鳴らす。
また、LGBTQの若者の自殺防止活動を行う「トレバー・プロジェクト(Trevor Project)」のジャンソン・ウー(Janson Wu)氏は、「特に若年層にとって大きなダメージになる恐れがある」と懸念を示した。「今日の措置によって多くの人が恐怖や混乱を覚えるだろう。私たちはこれまで通り互いを守り合い、支え合っていく」と語った。
一方で、今回の大統領令を「常識への回帰」と支持する声もある。ある女性の同性愛者(レズビアン)は、「私はレズだけど、これで気持ち悪い男の娘に『自分は女の同性愛者だ』と言われるのを見ることも減る。選ばなかったらトランス恐怖症のレッテルを貼られるなんてごめんだ」とSNS上で書き込み、賛同を集めている。

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